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2010年8月24日

こんにちは、ウッズ歯科クリニック 院長の近森です。

日本での平均的な歯内療法(歯の神経や根の治療)はまったくの手探りにより行われるのが一般的でした。

そのため、何回も,場合によっては数ヶ月以上に渡って何十回も薬剤交換のための短い通院を繰り返してたりすることが多いようです。

さらにそのような治療の予後(prognosis)は決して優秀であるとはいえず,
処置後10年を待たずして再治療や抜歯の憂き目を見ることも珍しいことではありません。

 マイクロ・エンドドンティクス(顕微鏡による特殊な歯内療法)行った場合は,
1回~3回のアポイントでほぼ無痛で行うことが可能ですし,
1ヶ月以上の治療期間がかかることは非常に稀です。
根管の薬剤を数回以上も交換するという処置はほとんど行われません。
(もっとも、この点は、保険外診療にて使用可能な薬剤によるところも大きいのですが、
そのお話はまた別の機会に。)

最大の恩恵は従来型の
『指先の感覚と勘に頼ったラフでクラシックな技術』が,
マイクロ(顕微鏡)の応用によって
『非常に明るい照明の下で完全に目視可能な状況での精密でモダンな技術』へと
進化を遂げたことです。

根管治療の詳しいページはこちら

2010年8月15日


今回は、神経の治療=根管治療=歯内療法の成功率についての考察です。

根管治療の成功率を左右するのは「治療の正確性」が一番に挙げられます。
その正確性の中には「できるだけ無菌的に治療する」ことも含まれます。

無菌的に治療するためには、十分な治療時間を確保することと、
ラバーダムというゴムのマスクを使うことが好ましいとされています。

「ラバーダムをきちんと使用しているもの」に限って、とあるデータでは

抜髄 → 86% (95%CI 84.2-87.8)
未治療の感染根管 → 80% (95%CI 78.5-81.5)
再治療の感染根管 → 56% (95%CI 51.8-60.2)
                                   とあります。
 
               ※ラバーダムは理想論 より抜粋
                           

世界の歯内療法の専門医が通常の根管治療を行った場合の成功率は
その歯の状態によって異なりますが、

神経を取る場合(抜髄)では 90%
神経が無い状態の根管治療では 80%
根の先に根尖病変が見られるもの 70%
再感染根管治療の場合 60%

と、治療の成功率は全く異なることが数々の世界的な研究から報告されています。
※歯内歯周専門室 宮下歯科のサイトより引用


では、ラバーダムを使わなかった場合はどうなのでしょうか。
ラバーダム(ゴムのマスク)を使用した場合 : 約90%(初回治療時)
ラバーダム(ゴムのマスク)を使用しない場合: 約50%以下(初回治療時)
※初回治療時にラバーダムを使用した場合の、再治療時の成功率は約60%。
※ラバーダム【歯科大事典】より引用

ここに書かれている初回治療というのは『抜髄』のことを指しています。
ラバーダムをせずに再治療した時の成功率は30%くらいと、
当院では説明していますが、実際もそれくらいでしょう。

根管治療の成功率

・ラバーダムを使っての再根管治療の成功率を60%
・ラバーダムを使わない再根管治療の成功率を30%

再治療という行為自体が、ハイリスクなので、
できれば何度も繰り返さない方が望ましいです。

神経を取る治療は、
ラバーダムを使ってくれる医院が理想です。

ちなみに当院では、自由診療の根管治療時には
基本的ラバーダムを使用しています。
(前歯などでは、使用しない場合もあります。)

http://www.woods-dc.jp/

2010年8月 9日

 当院では,日常的な歯科の薬品として広く日本国内で歯内療法に一般的に使用されている,
フェノール・ホル マリン系の薬剤を一切,使用をしていません。

これは先進諸国では当然の事なのですが,
未だにほとんどの日本の歯科医院においては"FC" や"CC"と呼ばれる歯内療法(歯の神経の治療)の薬剤を使うところが非常に多いのです。

それは歯科医院の匂いとして連想する刺激のある,あの『ツンとした香りのもと』です。
そういった過去の薬剤に替えて,
当クリニックでは、より生体に優しい薬剤である水酸化カルシウム系のものを使用します。
基本的に生体毒性が少なく,経時的に消失するものとして知られており,
歯内療法には先進国ではごく標準的に用いられている薬剤です。
もちろん日本の薬事法でも承認されております。

この様な事が可能になる理由は,桁違いに高精度の治療が可能となり,
防腐性の強いフェノール・ホルマリン系の揮発ガスによる盲目的な消毒作用に頼る必然性が全く不要になったためです。


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「ウッズ歯科クリニック」 院長 近森直人

「ウッズ歯科クリニック」
院長 近森直人
http://www.woods-dc.jp/

【経歴】 1999年
東京医科歯科大学
 歯学部卒業
同大学付属病院
 第二口腔外科勤務
神奈川県及び大阪府、
 京都府の歯科医院で勤務医
2010年3月
ウッズ歯科クリニック開院

【所属学会】
日本歯内療法学会会員
日本顕微鏡歯科学会会員
アストラテックインプラントコース修了
M.E.Iマイクロスコープコース修了
M.E.Iマイクロサージェリーコース修了